坂口安吾とレイトモダン―万福寺をめぐる三つのテキストについて―

石川義正

坂口安吾は京都府宇治市にある黄檗山万福寺(萬福寺)についてエッセイや小説で何度か触れている。だが、その建築等の「中国」的な特徴のためか、「日本的なるもの」という視野のもとであまねく語られてきた法隆寺や桂離宮などと比較して、これまで積極的な議論の対象になってこなかった。
ここでは「女占師の前にて」『吹雪物語』「日本文化私観」における万福寺をめぐるテキストを比較することを通じて、「崇高」という概念を 手がかりに、坂口安吾にとっての「近代」を、とりわけ盛期モダニズム以降のモダニティの特質としての「近代末期(レイトモダン)」として捉えたい。

【使用テキスト】
「日本文化私観」『吹雪物語』「女占師の前にて」「ジロリの女」「堕落論」「特攻隊に捧ぐ」「イノチガケ」「文学と国民生活」「FARCEに就て」

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