基調講演 気候変動の世紀と安吾の言語感覚

高橋 世織

 安吾にとって風や光は、何だったのだろう、というところから、「気候変動の21世紀」という観点に沿いつつ、安吾における気象的感性、言語感覚について、お話できればと思っております。
 賢治や寺田寅彦、なども参照したいと思っております。




坂口安吾と殺風景(ピクチャレスク)―「白痴」をめぐる迷走

加藤 達彦

 周知のように、坂口安吾は「石の思ひ」(昭21・11)のなかで「たゞ広茫たる涯のない」風景が好きだと告白した。彼が好む、その∧殺風革な景色をいま仮に〈ピクチャレスク)と呼びかえてみたら、どうだろう。安吾が企図していた〈文学〉のアナクロ的な方法が朧気に浮かび上がってこないだろうか。
 本報告では、そうした意識に基づいて、見えない糸を手繰り寄せるように「白痴」(昭21・6)ほかのテクストを読み解いてみたい。(今回は準備不足もあって、さぞかし迷走することになるかと思うが、どうかご容赦願いたい。)

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