『吹雪物語』における植民地主義をめぐって

デウィ アングラエニ

 本発表では坂口安吾の『吹雪物語』を日本の植民地主義の中に位置づけ、新たな視座からの作品論を試みる。とりわけ、「満州」の描写を重視する。先行研究を整理したところ、「満州」は新たな現実・逃避先を機能している土地として論じられているが、表象とした「満州」と植民地された「満州」との関連がややしか触れられていない。普段は植民地がエキゾチックで描写されるが、同作品において「満州」は「伝統・礼儀・性格・感情もなく、バラックだ」として描かれ、男性身体化・軍国主義を指すものだといえるだろう。よって、本発表では日本の植民地主義と関連付け、「満州」を描く安吾の特徴的な表現をより深く考察したい。(キーワード:坂口安吾、植民地主義、『吹雪物語』、満州)

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