坂口安吾「閑山」論 ―『一夜船』と新潟民話から

塚本 飛鳥

昭和一三年に発表された「閑山」はいわゆる説話体小説の第一作目である。翌年に発表された「日本の山と文学」の記述から、この作品には北条団水が補筆し編じた正徳二年刊行の浮世草子『一夜船』巻一の二「花の一字の東山」が下敷きとしてあることが指摘されているが、それだけではなく、昔話によく見られるような狸や放屁といったモチーフが散りばめられている。今回は『一夜船』と同時に新潟の民話を見ながらこの作品について考える。

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