安吾と速度

前田 塁

【講演内容】
 坂口安吾についてはほとんど門外漢なので、講演の依頼をいただいてつらつらとテクストを眺めていたのですが、なかに、「文字と速力と文学」というものを発見しました。どうやら、自分の思考の速度に身体がおいついていかないことに苛立っているらしいその文章は、まるでちがうカタチで、私たちの今日的な状況に接合できるかもしれません。なんともあやふやなテーマで恐縮ですが、3日はそのあたりについてお話できればと思っています。けれども安吾と野球、安吾と賭博、についても考えてみたい気はするので、気づけばそっちのお話をしているかもしれません。乞御寛恕。

【講演者紹介】
現代日本文学。市川真人の批評プロジェクト名。一九九九年から「早稲田文学」に携わり、批評誌化や文芸誌初のCD添付、フリーペーパー「WB」の刊行ほか、文芸メディアの新しいかたちを編み出し続けている。『ユリイカ』や『文学界』での時評連載や、西原理恵子・荒木飛呂彦らマンガ家とその作品をめぐる解題や評論、中上健次『現代小説の方法』の独特の脚注など、守備範囲の広い評論活動を手がけている。2008年には青土社より『小説の設計図』を刊行。


(この発表要旨は研究集会に先だって会員に配布されたものです)

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