安吾の世界と暗合する暗号

高山 宏

 二十世紀世界文学を鳥瞰できるタイミングになってそうしてみると、一九二〇年代(ハイ・モダニズム)、一九五〇年代(ポスト・モダニズム)がまた改めて画期的に面白い時代であると思えてくる。今回は「パラドックスの文学」(R・L・コリー)がその時代に隆昌したことに注目して、漱石や熊楠の発する「諷語を」という方針に沿う「パラドクシア・ヤポニカ」の系譜を提案する中に、安吾を位置付け、その位置付けがグローバルな動きと絶妙に暗合しているいわれを説いてみたい。折角だから石川淳にも触れてみる。

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