坂口安吾研究会のご案内


 坂口安吾は小説=批評を視座に日本文学のみならず、日本の社会・文化・思想・歴史の諸問題と徹底的に闘争した作家であった。そのため安吾の言説は人文諸学のさまざまのジャンルに及んでいる。にもかかわらず、安吾の言説は長い間そのように見なされなかった。それは、安吾の没後に敗戦直後のデカダンな流行作家、あるいは狂気の作家のイメージが創出され、一般に流布したことに要因があるが、そのイメージはこの十年間で大きく変わった。今日では無頼派の意味が問い直され、その小説=批評にたいする評価はコペルニクス的転回を見せている。その新たな契機を作ったのは、初期の論文・翻訳などの著作・対談・草稿をも収めた筑摩書房版『坂口安吾全集』全17巻の刊行である。坂口安吾の著作はこの全集で初めて完備した。
 坂口安吾研究会は、この動向のなかで計画された。昨年十二月に準備委員会を作り、そこで討議されたのは、坂口安吾の思想・文学の研究を通して新たな地平を拓くだけでなく、日本の文学、思想・文化・歴史の諸問題をジャンルを横断して研究する開かれた形の坂口安吾研究会を創設することであった。したがって、この研究会は坂口安吾の研究者だけでなく、同時代の作家あるいは近代文学、古典文学を専門としている人々、思想・文化・歴史・社会学などの人文諸学の研究者、評論家が討議・議論する空間を想定している。それが坂口安吾の小説=批評の磁場でもあるからである。
 その設立の趣旨にご賛同くださる方々は、ご入会を頂きたくご案内いたします。
 
(創設時には、以上の文書で研究会発会の趣旨を呼びかけました。)

 坂口安吾研究会は上記の主旨に基づく活動を行い、また会員を募集しています。活動として研究集会と集会の成果をふまえた『研究論集』(不定期刊行)の編集・刊行を行っています。
 研究集会は会員の発表を中心に行われ、『研究論集』も会員からの投稿を軸にして編集しています。また、会員の方には入会日以後に刊行する論集を一部無料で進呈いたします。また入会日以前に刊行していた論集については二割引にて販売を行っております。
 この他にメールによる『会報』(研究集会の案内・過去の研究集会の印象記・その他研究会に関する情報などを掲載)を会員の方々にお送りしております。

 入会を希望される方は、研究会のメール・アドレスまたは下記の事務局までご連絡下さい。

〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33

千葉大学文学部日本文化学科 大原祐治研究室内

坂口安吾研究会事務局



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